地上100メートルの高さのプレッシャー
「技術的には特に難しいことではない。気持ちが萎えなければだ。たとえば、幅30センチの板の上を歩くことーこれには、特別な技術はいらない。しかし、この幅30センチの板が、地上100メートルの高さのビルとビルの間に渡されていたらどうか。地上であれば間違いなくできるその行為が、できなくなる。それと同様の精神的なプレッシャーがかかる。(夢枕獏著『神々の山嶺(下)』十八章 アイスフォール (P291)」
その通りだと思う。自分のいる世界に当てはめてみると良くわかる。1メートルの距離のパットが難しいわけではない。250ヤード先のフェアウェーにボールを落とすことが難しいわけじゃない。トーナメントという舞台の上で、その1メートルのパットを迎えた時に、自分ができるはずのことにまったく自信がなくなってしまうことがおきるんだ。オレは、30センチの幅の板の上を歩くことを練習するのではなくて、地上100メートルのビルの上で自分を失わずにいられることを身につけないといけないんだと気づかされた。
いまツアーの休みを利用してバンコクで練習をしている。この本を読んで、果たして自分がやっていることが正しいのか。それとも地面の上に置いた板の上を歩く練習をしているのか。わからなくなってきた。この本で出会えたのも何かの縁だと思う。これを機に考えてみたい。